求人票を開いても、応募ボタンを押せないまま画面を閉じてしまう。面接の日程が決まると、前の職場で言われた言葉がよみがえることもあるでしょう。
発達障害のある方から、こうした声はよく聞かれます。この記事では、その怖さがどこから来るのかを整理し、怖さを抱えたままでも進める方法を紹介します。読み終えるころには、次の一歩が今より小さく見えているはずです。
「また同じ失敗をするかも」という怖さが生まれる理由
働くことへの怖さは、性格の弱さから生まれるものではありません。多くの場合、過去に積み重なった具体的な出来事が背景にあります。以下で詳しく解説します。失敗そのものより、責められた記憶が残っている
思い出すのがつらいのは、ミスの内容ではなく、そのあとに向けられた言葉や態度である場合が少なくありません。書類の不備そのものより、周囲の反応のほうが記憶に焼き付きます。不注意で忘れ物をしたり、場の空気とずれた発言をしたりする場面もあるでしょう。そうした出来事に対して心ない言葉を浴びたり、孤立したりした経験が重なると、次の職場でも同じことが起きると身構えるようになります。その場では平気なふりをしていても、記憶のほうは残り続けるものです。
感覚の過敏さが出来事の重さを変えている
同じ場面でも、感じ方は人によって同じではありません。聴覚が過敏な方にとって、大きな声で叱責される場面は、内容以前に身体が拒否するほどの負荷になります。蛍光灯のちらつきや電話の音が絶えないオフィスも、消耗の原因になりえるでしょう。周囲には小さな出来事に見えても、本人にとっては強いストレスとして刻まれます。
理由がわからないまま怒られた経験は消えにくい
何が悪かったのか説明されないまま叱られると、対処のしようがありません。「なぜ怒られたのかわからない」という感覚だけが残り、次に同じ状況を避けようとする反応が強くなります。こうした体験の積み重ねが、フラッシュバックや強い緊張につながる場合もあります。ふとした瞬間に当時の身体の反応がよみがえるのは、意志の力とは別の仕組みによるものです。
怖さを消そうとする前に外したい3つの前提
怖さは、無理に消そうとするほど強くなりがちです。まずは前提として抱えている思い込みを、いくつかほどいてみてください。以下で詳しく解説します。怖いと感じるのは危険を避けようとする自然な反応
「働くのが怖い」という感覚は、甘えでも逃げでもありません。過去に傷ついた場所へ再び近づこうとするとき、身体が警告を出すのは自然な働きです。その反応があるからこそ、これまで自分を守れてきた面もあります。怖さを感じる自分を責める必要はありません。まずは、どんな場面で強く出るのかを書き出してみてください。
周りと同じ速さで進む必要はない
同世代が働いている様子を見ると、自分だけ遅れているように感じるかもしれません。ただ、働き方の形も進む速さも人によって違います。比べる相手を過去の自分に変えてみてください。先月より少し外に出られたなら、それは前に進んだ証です。怖いままでも動き出せる支援の使い方
「怖さが消えてから行動したいが、なかなか動き出せない」と悩んでいる人も多いでしょう。ですが安心してください。怖いままの状態を前提にした支援の場が用意されています。以下で詳しく解説します。通うことから始められる就労移行支援
就労移行支援事業所では、就職を急かされることはありません。まずは決まった時間に通う、誰かと少し話す、短い作業をしてみるところから始められます。新宿区にも複数の事業所があり、見学や体験を受け付けています。合わなければ別の場所を探せるため、一度足を運んでみるくらいの気持ちで問い合わせてかまいません。利用には自治体の手続きが必要ですが、進め方は事業所が案内してくれます。
医療や相談窓口とあわせて使う
フラッシュバックや不眠が続く場合は、心療内科やカウンセリングの利用も選択肢に入ります。就労の支援と医療の支援は、どちらか一方を選ぶものではありません。軽い運動や、不安になったときに退避できる場所を決めておくことも、日々の負担を軽くします。自分に合う方法は、支援者と話しながら探していきましょう。
まとめ
「また同じ失敗をするかも」という怖さは、これまで真面目に向き合ってきた時間の裏返しです。無理に消そうとせず、怖さを抱えたまま動ける環境を選ぶほうが、結果として前に進みやすくなります。就労移行支援事業所は、就職を決めることだけを目的とした場所ではありません。通うことも、話すことも、少し作業してみることも、その一つひとつが準備になります。
新宿区の事業所では見学や無料相談を受け付けています。まだ働く決心がついていない段階でも、話を聞いてみるところから始めてみてください。一人で判断せず、支援者と一緒に次の一歩を決めていきましょう。